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本展は、2004年に東京工芸大学大学院芸術学研究科を修了し、2006年に写真集『small planet』で第32回木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家・本城直季による二つの代表的なシリーズをあわせて展示するものです。
実在の都市やそこにいる人々を、4×5インチ大判カメラのティルト・アオリという機能を駆使し、空撮など高い位置から撮影することによって、あたかもミニチュアの模型のように見せる作品「small planet」シリーズは、本城の代表作として知られ、その人気は、似たような効果を生み出す機能がデジタル・カメラに付いたりするほど、一世を風靡したシリーズです。 本展では、この「small planet」シリーズに加えて、深夜の住宅街を大判カメラで撮影し、書き割りや舞台セットのように見せる「Light House」のシリーズを対比的に展示いたします。 これら2つのシリーズは、同じく都市をモチーフとしていますが、天空と地上という対極的な視点から捉えられています。しかし2つのシリーズは、共に実存する光景をまるで虚構の世界のように見せながら、観る者に自分たちの住む都市空間の構造やそこでの人々の営みについて深く考えさせます。 「diorama」(ジオラマ)とは、現在では博物館の展示などで見られるミニチュア模型展示を指しますが、そもそもは19世紀初頭に世界最初の実用的な写真術の発明家となったルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが写真術発明以前に生業としていた興行であり、箱の中に細密な風景画をおいて、観客がのぞくと本当にそこに風景が広がっているかのように錯覚させる見せ物の一種でした。 今回展示する本城の2つの作品は、それぞれ都市を作り物のジオラマのように描き出しながら、観る者の想像力を刺激し、我々に現実世界の新たな知覚の方法を提示してくれるのです。 本城 直季 (ほんじょう・なおき) 1978年東京生まれ。2002年 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業、2004年 同大学院芸術研究科メディアアート修了。2006年に写真集『small planet』(リトルモア)で第32回木村伊兵衛写真賞を受賞。2008年「Reality Check: Truth and Illusion in Contemporary Photography」(ニューヨーク・メトロポリタン美術館)など国内外で個展・グループ展多数。作品はメトロポリタン美術館、ヒューストン美術館などにコレクションされている。2010年には写真集『Treasure Box』(講談社)を出版。
※掲載情報について |
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