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あの頃、僕たちは白紙の[じゆうちょう]を持っていた。
将来の自分に一筋の希望を描き、一枚ずつ頁を黒く塗りつぶしてきた。 気に入らなくて、破り捨てた頁もあっただろうか。 あの頃、小さな背中に背負った[Run−Down Shell](ランドセル)には、夢と希望がギュウギュウに詰まっていた。 背が伸びるにつれて、生きることに慣れてきた僕たちは、[Run−Down Shell]の中身を軽くして、楽な道を覚えてしまった。 必死に走っても筆箱の音すら鳴らなくなっていた。 あれから僕たちは現実を知らないまま[じゆうちょう]の存在を忘れていた。 その実、あの[じゆうちょう]は、今も白紙の頁を残して[Run−Down Shell]の中で、僕たちの背中を押している。 だから今、あの頃の僕たちを背負って、忘れていた宿題を仕上げなければならない。
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