早崎葉子展

実は、私は自分の表現について語ることがとても苦手です。“苦手”というより語りたくないといった方がいいかもしれません。表現を言葉で説明するとイメージが狭められ固定されてしまうと考えるからです。——ここ数年「空音」というタイトルで表現してきたものは“音”です。長年聴いてきた音楽や忘れられない何かの音や鼓動など、頭の中に澱のように沈殿しているあらゆる音を表現してきました。あるいは音を物質のように体感し、まるでそこに存在しているかのような衝撃を受けた経験を描いてきました。
「何を描いているのですか？」と質問され、「音です。」と答えると、多くの方は「あ、なるほど。そう言われればリズムみたいな感じが感じられるし、音…ですね。」とスッと納得されてしまうのです。できれば、私の貧困な語意にとらわれずに、好きにイメージしてもらえたら本望です。
いや〜っ　音ってほんとうに不思議ですね。癒しにも恐怖にもなり得るし、聞く（聴く）人によっては快にも不快にもなってしまう。拷問にだって用いられましたものね。描いても描いても遠いので「空音」シリーズは今回で一応終了します。