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<作者コメント>
中国が長江中流域に建設中で、完成すれば世界一の規模となる三峡ダム。その建設工事の影響で、杜甫や李白の詩に登場する美しい風景が水没するのを知ったのは、2002年の夏のことでした。 消えゆく風景をこの目で見たいと思い、私は長江への旅に出ました。船のデッキから眺める河の風景は美しく、またはかなくもありました。やがては水の中へと没してしまうその風景のはかなさには、私の意識の深いところを刺激する何かがありました。 私は今回の写真展で、この世界第三の大河、長江への想いを視覚的に表現したいと思っています。三峡ダム上流の町々はすでにその多くが水没し、百万を超える人々が移住させられました。すべてを呑み込んだ長江は、まるで何も起こらなかったかのように、今、この地を悠然と流れています。河の水面を覆う深い静寂は、我々に何を語りかけているのだろう。そんなことを考えながら、私は旅を続けてきました。 <作者略歴> 小川康博(おがわ・やすひろ) 1968年神奈川県生まれ。24歳で写真をはじめる。2000年、旅の軌跡をモノクロームで綴った作品「不確かな地図」で第37回太陽賞受賞(平凡社)。以来、日本やアジアをフィールドとして活動を続けている。中国・三峡をテーマにした作品で2006 Oskar Barnack Award(Leica France)にノミネート。2008年8月、初の写真集「Slowly Down The River往にし方への三峡をめぐる旅」(クレオ)を出版。 カラープリント A1、B1 約30点
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