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【作者コメント】 撮影した地域は、東京葛西臨海公園から千葉県市原市にかけての東京湾の埋立地です。撮影時期は、1995年から2008年までです。千葉県側の東京湾の埋め立てがはじまったのは1940年で、千葉市寒川町(現千葉市中央区)から蘇我町(現中央区)の海岸埋め立てが土台になっています。戦後、埋め立ては一時中止されましたが、1950年代に京葉造成地帯の計画が進み、埋め立て範囲は君津市から市川市にかけて広がり、1960年代には11,200haの工業地として拡大しました。その工業地の拡大に伴い、漁業者が激減し、工業資本に入れ代わりました。私自身は戦後、都心のベッドタウンとして発展した千葉県習志野市に1975年から暮らしはじめました。当時、海岸沿いはまだ埋め立て原野という感じで、生活感はまったくありませんでした。経済成長期・バブル期にたくさんの団地が形成され人が住むようになり、さらに、千葉市に幕張新都心が建設されたこともあり、埋立地の人口海岸にも人が近づくようになりました。工業化と人の生活が入り混じりながら発展してきたのが、この東京湾奥です。私がこの地域を撮りはじめた当初は、自身のこの地域での日々の生活における違和感を断片的に撮影していた程度でした。しかし、東京湾奥で私が主観的にとらえた違和感を、経済成長が一段落した今、抽象的にまとめることで、私たちが戦後たどってきた道の一端をぼんやりとでも把握することができるのではないかと考え、本格的に撮りためることにしました。今の時代性を「東京湾奥」によってご覧いただけると幸いです。 【作者略歴】 小倉隆人(おぐら・たかひと) 1950年 徳島県生まれ 東京総合写真専門学校 中退 写真雑誌「フォトアート」研光社、関東逓信病院写真室勤務(現NTT関東病院) 勤務 1983年 フリー 日本リアリズム写真集団会員 日本写真家協会会員 【展示作品】 モノクロプリント 半切 55点
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